2010 Fiscal Year Annual Research Report
英語の等時性を崩すテンポの解明と日本人英語学習者のリスニング能力の関係について
Project/Area Number |
21820077
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
神谷 厚徳 岩手県立大学, 宮古短期大学部, 准教授 (60511160)
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Keywords | リズム / テンポ / フット / 等時性 / リスニング / TOEIC Bridge |
Research Abstract |
平成22年度は2つの仮説について検証した。 まず「伝統的な言語のリズム分類は妥当である」という仮説を証明するため、強勢拍リズムの英語と音節拍リズムの日本語それぞれを母語とする被験者の英語発話を比較した。本実験では、英語母語話者と日本人英語学習者それぞれの英語発話をフットに基づいて測定し、標準偏差を用いてフット間の発話時間がどの程度一定であるか明らかにした。本実験では、標準偏差の数値が小さければ小さいほど、被験者はフット単位で発話を捉えていたことになる。英語母語話者と日本人英語学習者の標準偏差を比較したところ、英語母語話者の標準偏差の方が有意に小さい数値であった。つまり英語母語話者の方がフット単位で英語を捉えて発話していたことになる。この実験を通して、英語は伝統的に言われてきたように、フットを基準とした強勢拍リズムの言語であることが考察された。 次に「テンポを捉えることと英語リスニング能力の間には正の相関関係がある」という仮説を立証するため、日本人英語学習者のみに注目し、テンポと英語リスニング能力の関係を考察した。ここでは、テンポの実験結果とTOEIC Bridgeのリスニングのスコアを被験者ごとに比較することで、本仮説を検証した。結果、テンポを正確に捉える能力とTOEIC Bridgeのリスニングスコアの両者間にはかなりの相関がみられた[r=.571(p<.01)]。またTOEIC Bridgeのリスニングスコアを上位集団と下位集団に分類し、そこに差異が存在するか分析した結果、両集団間に有意差が確認できた(p<.05)。この結果から、本仮説は妥当なものであると考えられる。しかし本実験ではサンプル数が少ないため(32名)、本実験結果が絶対的なものとは断言できない。被験者を更に増やすことで、より正確な傾向を明らかにしなければならない。
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