2009 Fiscal Year Annual Research Report
多文化国家オーストラリアにおける教員の資質・能力の向上:基準の維持と差異の承認
Project/Area Number |
21830012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
青木 麻衣子 Hokkaido University, 留学生センター, 講師 (10545627)
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Keywords | 教員教育 / 教員研修 / 先住民教育 / オーストラリアの教育 / 多文化国家の教育 |
Research Abstract |
本研究の目的は、多文化国家オーストラリアで、先住民教員の資質・能力がどのように改善・維持されているのかを、特に教員研修制度に焦点を当て、調査・分析することである。同国では、1990年代後半以降の全国学力調査の推進により、特に遠隔地の先住民コミュニティでの学力低迷が問題視され、クイーンズランド州を中心に大規模な学力向上政策が進められてきた。先住民生徒の学力を向上させる上で先住民教員の果たす役割は大きい。しかし、教員養成段階では、これまでの研究で明らかにしたように、教員として求められる基準の達成に課題が残る。そこで本研究は、クイーンズランド州を事例として、1)学力向上政策が推進されるなか、教員に必要な資質能力はどのように維持・涵養されているのか、2)先住民教員に独自に求められる資質・能力とは何か、それはどのように評価されているのか、3)両資質・能力の共存は、どのように実現され得るのかを明らかにする。 2009年度は、まず、オーストラリアの学力向上政策の全体像の把握を試みた。特に2008年度以降、本格実施される運びとなった全国共通リテラシー・ニューメラシー・テストの内容とその結果の分析に力を入れた。またそれとともに、この共通テストの実施が、初等中等教育の権限を持つ各州の教育制度・政策に与えている影響も考察した。さらに、これらの分析・考察を土台として、クイーンズランド州の教員研修制度について、リテラシーの領域に焦点を当てて、実際にどのような取り組みが、どのような目的で行われているのかを調査した。2010年3月には、クイーンズランド州を中心に現地調査を行った。なお、これらの成果は、日本比較教育学会およびオセアニア教育学会で報告した。
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