2010 Fiscal Year Annual Research Report
多文化国家オーストラリアにおける教員の資質・能力の向上:基準の維持と差異の承認
Project/Area Number |
21830012
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
青木 麻衣子 北海道大学, 国際本部留学生センター, 講師 (10545627)
|
Keywords | 教員教育 / 教員研修 / 先住民教育 / オーストラリアの教育 / 多文化国家の教育 |
Research Abstract |
本研究の目的は、多文化国家オーストラリアで、先住民教員の資質・能力がどのように改善・維持されているのかを、特に教員研修制度に焦点を当て、調査・分析することである。同国では、1990年代後半以降の全国学力調査の推進により、特に遠隔地の先住民コミュニティでの学力低迷が問題視され、クイーンズランド州を中心に大規模な学力向上政策が進められてきた。先行研究でも、先住民生徒の学力を向上させる上で先住民教員の果たす役割が大きいことはたびたび指摘されてきたが、教員養成で育成・伸長できる技能には限りがある。そこで本研究は、教員研修に焦点を絞り、クイーンズランド州を事例として、先住民教員に必要な資質・能力が具体的にどのように維持・涵養されているのかを考察した。 2009年度は、オーストラリアおよびクイーンズランド州の学力向上政策の全体像の把握を試みた。その成果を基盤として,2010年度は、全国学力調査の結果を受けて進められる学校教育改革のなかで、クイーンズランド州独自の取り組みとして新たに設けられた研修制度および職務について検討した。また、現在、ナショナル・カリキュラムの開発が進められ、既にいくつかの教科では実施段階にあるが、それらの分析を通して、同国では、カリキュラムを実際に運用する教員に、依然として柔軟な対応が求められていることを明らかにした。今年度は、2011年2~3月にクイーンズランド州で現地調査を行った。また、上記の成果は、『研究談叢 比較教育風俗』、『オーストラリアの教育改革』(佐藤博志編著,学文社,2011年)のほか、オーストラリア学会、日本教育学会、世界比較教育学会(WCCES)および大洋州経済学会で発表・報告した。
|