共同体知的財産権と国際私法に関する研究

2009 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 21830014
• Research Category: Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
• Research Institution: Tohoku University
• Principal Investigator: 岩本 学 Tohoku University, 大学院・法学研究科, 助教 (70552511)
• Keywords: 国際私法 / 共同体商標権

Research Abstract

本研究は、EUに存在している共同体的財産権について、国際私法・国際民事訴訟法の観点から分析することで、超国家的な統一権の処理についての基盤を提供することを目的とする。分析に際しては、(1)まず共同体知的財産権の特徴を把握し、(2)その上で第三国との国際裁判管轄問題、加えて第三国の国際私法における共同体知的財産権の処理を検討、というプロセスを辿る予定である。そのため本年度はまず、共同体知的財産に内在する国際私法規定・国際民事訴訟法規定について、「共同体商標規則」、「共同体意匠規則」を検討素材として、国内外の書籍・論文を用いて検討した。更に、共同体知的財産権の国際祭裁判管轄に関するスイスの裁判例を検討する前提として、種々のコメンタールを通じてスイス国際民事訴訟法の全体像を把握するよう努めた。前者の検討から、第三国における共同体知的財産権訴訟に関して、規則自体が第三国での共同体知的財産権訴訟に介入する意図は見られない、という結論を得た。このことにより、少なくとも両規則については、第三国での対応自体を検討すべきことが明確になった。後者については来年度行う(2)の研究の基盤を形成することができた。この他に来年度検討を予定しているEU法の新たな立法であるローマII規則については、現在までに公表された書籍・論文につき渉猟し検討準備に入った。なお、本研究を行う際に東北大学にて入手困難であった資料については、財団法人知的財産研究所(東京)とスイス・ローザンヌにある比較法研究所を利用しその収集を行った。