2010 Fiscal Year Annual Research Report
外交的保護制度および投資条約制度における「国籍」概念
Project/Area Number |
21830015
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
猪瀬 貴道 東北大学, 大学院・法学研究科, 助教 (70552545)
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Keywords | 投資紛争解決制度 / 投資条約 / 投資条約仲裁 / 外交的保護 / 国籍 / 領域内外国人待遇 / 投資紛争解決国際センター(ICSID) / 国際投資法 |
Research Abstract |
当初の計画では、本年度は、外交的保護制度における国籍の機能についての検討を中心に据える予定であったが、昨年度の研究により、投資条約仲裁制度における国籍の機能についての課題が明らかになったため、投資条約仲裁制度を中心とした研究を継続した上で、外交的保護については、投資条約仲裁制度との比較という視点からの研究を行った。具体的には、昨年度の「重国籍者」についての研究から展開して「国籍国に対する請求」の取り扱いについての研究と、「事後的な国籍変更」による投資条約仲裁制度の利用についての研究に取り組んだ。 「国籍国に対する請求」は、本来、投資条約仲裁制度の対象とならない国内問題であるが、「重国籍者」「会社の設立」の場合、「外国投資家」とみなされ投資条約仲裁制度を利用することが可能とされる場合があり、その基準について、外交的保護制度の場合との比較を行いながら検討した。「事後的な国籍変更」については、紛争原因が発生した後に、有利な条件の投資条約利用を目的とするものがあるが、そのような「投資条約ショッピング」への対処について、外交的保護制度における「国籍継続原則」などとの比較から検討した。それぞれ、関連の深い小規模な研究会への参加を通して、意見交換などを行い、研究成果を論文として公表した。 また、本研究課題による研究を含めた形で、投資条約仲裁手続における人的管轄権の判断基準としての「国籍」の機能に関する研究をまとめて昨年度に提出した博士論文により東北大学より博士(法学)の学位を受けた。
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Research Products
(3 results)