2009 Fiscal Year Annual Research Report
アイロニーの攻撃性を規定する要因についての体系的検討
Project/Area Number |
21830017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
秋元 頼孝 Tohoku University, 加齢医学研究所, 教育研究支援者 (00555245)
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Keywords | アイロニー / 使用事例 / 映像資料 / 会話の間接性尺度 / 多次元共感性尺度 |
Research Abstract |
本年度は、(1)実際のアイロニーの使用事例の収集、(2)次年度の実験で使用する物語材料の作成、(3)会話の間接性志向尺度(Holtgraves, 1997)の日本語化および妥当性の検討を行った。 (1)では、特に、映像資料を対象として、調査協力者(一般の大学生)が、皮肉/字義的でないと感じた発話の記録・収集を行った。現在、42人の調査協力者による使用事例の記録・収集を終え、結果を分析中である。この調査の結果から、アイロニーが使用される状況を含めてアイロニーの特性について明らかにできることが期待される。また、近年、「アイロニーとは不誠実性に特徴付けられる言語表現である」という説明が有力なものとして研究者の間で考えられているが(Utsumi, 2000 ; Okamoto, 2007)、一般の人のアイロニーの捉え方がこの仮説に即しているのかという点についても検討予定である。 (2)では、写真とセリフから構成された(4コマ漫画的な)80個の物語材料の作成を行い、また、3度の予備調査・材料修正を経て、材料の妥当性が確認された。 (3)では、会話の間接性志向尺度の質問項目を日本語に訳し、その妥当性の検討を行った。その結果、先行研究とは異なり因子への寄与を示さなかった質問項目も含まれていたものの、それらの項目を除くとほぼ先行研究同様の因子構造が認められた。次年度の研究においてアイロニーの攻撃性の個人差を会話の間接性志向の個人差から検討するのにはこれで十分であると判断し、尺度の日本語化を完了した。また、会話の間接性尺度の下位尺度である解釈に関して、多次元共感性尺度の下位尺度である視点取得、想像力、共感性の得点との間に正の相関がそれぞれ認められるなど、日本語化された尺度の妥当性が確認された。 以上により、次年度の実験的検討の準備を予定通り完了した。
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