2010 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚障害者を対象としたデザイン教育において「気付き」を誘発させるシステムの開発
Project/Area Number |
21830027
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Research Institution | Tsukuba University of Technology |
Principal Investigator |
永盛 祐介 筑波技術大学, 産業技術学部, 助教 (70553931)
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Keywords | 聴覚障害 / アンビエント情報 / 気付き / 協調学習 / デザイン教育 |
Research Abstract |
創造的活動時のコミュニケーションの様態を探るため、単独レポート作成課題と合作レポート作成課題を聴覚障害被験者(D群)2人のペア、健聴被験者(0群)2人をペア、それぞれ10組に課し、ペア内でのインタラクションの様態についてのインタラクションの分析を行った。単独レポート作成課題(課題1)では、決められたテーマ(例:新型インフルエンザについて等)について、被験者2人が横に並んだ状態でそれぞれ一本ずつのレポート作成課題を行った。合作レポート作成課題(課題2)では、前課題同様、決められたテーマについて、2人で一本のレポート作成課題を行った。両課題とも課題時間は15分で、ノートPCに液晶モニタ、キーボード、マウスをつなぎ、デスクトップPCのように使えるものを各被験者に1台ずつ与えた。実験条件の詳細については平成21年度の報告と同様である。 【課題時間中のコミュニケーション秒数】課題1:D群>O群(p<0.10),課題2:D群=O群(ns) 【隣人とのコミュニケーション自己評価】課題1:D群>O群(p<0,01),課題2:D群=O群(ns) 【隣人に受けた影響の度合い100段階自己評価】課題1:D群>O群(p<0.05) 考察:本実験では当初の仮説が覆される結果となった。隣人とコミュニケーションを取ることが必須ではない課題1において,コミュニケーション秒数,取れた度合い,隣人に受けた影響について,健聴群と比較して聴覚障害群の方が有意に高い値を示し,聴覚によるトリガー無しでコミュニケーションが発生していることを示している。このことは本学特有の共同生活(寮生活などによる人間関係や聴覚障害者としての共同体意識)が影響している可能性がある。このような性質を、聴覚障害者を対象としたデザイン教育において「気付き」を誘発させるシステムに積極的に用いることは有効である。
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