2009 Fiscal Year Annual Research Report
動的最適化を含む構造的計量経済モデルの推定アルゴリズムの開発
Project/Area Number |
21830036
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
下津 克己 Hitotsubashi University, 大学院・経済学研究科, 教授 (50547510)
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Keywords | 構造的計量経済モデル / 動的最適化 / アルゴリズム / 不動点問題 / 漸近理論 |
Research Abstract |
本研究の目的は、動的最適化を含む構造的計量経済モデルの新しい推定アルゴリズムを開発することである。本年度の研究により得られた主な成果は、以下の通りである。 1.既存の論文のサーベイと問題点の発見。構造的計量経済モデルは、経済学的な構造を強くデータに課すため、観測されない多様性(unobserved heterogeneity)を適切にモデルに組み入れることが重要である。既存の論文をサーベイした結果、現在主流のアルゴリズムは、政策関数(policy function)の繰り返しを用いること、そして、その結果、誤差項が加法分離的(additively separable)にモデルに組み込まれている仮定に強く依存していることが明らかとなった。計量経済モデルにおいて、加法分離的誤差項の仮定は、個々人の多様性のありかたに強い制約を課す。例えば、random coefficient modalsは加法分離性を満たさない。したがって、既存のアルゴリズムは、観測されない多様性を非常に制限的に組み込んでいることが明らかとなった。 2.試験的なアルゴリズムの構築。既存の論文のサーベイで明らかになった加法分離性の問題を解決するため、観測されない多様性を、加法分離性に依存せず柔軟に組み込むことのできるアルゴリズムを試験的に構築した。新しいアルゴリズムは、評価関数の繰り返しとパラメータの更新を交互に行うことにより特徴づけられる。加法分離性を満たさない有限混合モデルを用いて、試験的なシミュレーションを行った結果、新しいアルゴリズムは、膨大な計算量を必要とるととなしにモデルを推定できること、新しいアルゴリズムは良好な収束特性を示すことが確認された。これらの暫定的な結果は、国内外の学会で発表した。
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Research Products
(3 results)