2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21830037
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
坂井 功治 京都産業大学, 経済学部, 助教 (80548305)
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Keywords | 金融市場 / 貸出市場 / 資金再配分 / 資源再配分 |
Research Abstract |
本年度は、不均衡経済における成長会計モデルにもとづき、金融市場の資金再配分指標、および資本ストックの資源再配分指標を導出するとともに、1980年から2007年までの日本の金融市場の資金再配分と資本ストックの資源再配分の時系列推移について分析を行った。以上の分析によって得られたおもな結果は以下である。1.金融市場の資金再配分効果は資本ストックの資源再配分効果を上回る水準と変動を示し、経済成長率に対して無視できない影響を及ぼしていること、2.資本ストックの資源再配分効果と金融市場の資金再配分効果は密接に関係しており、特に1990年代については、貸出市場の資金再配分の非効率性が資本ストックの資源再配分の非効率性をまねき、最終的に経済成長率に負の影響を及ぼしていたこと、3.1990年代における貸出市場の資金再配分の非効率性と資本ストックの資源再配分の非効率性は、1990年代に入ってはじめて顕在化した現象なのではなく、1980年代はじめから限界生産性の低い産業で貸出や資本ストックが増加し続けるという形で、その歪みは水面下で進行し続けていたこと、4.1990年代に入って、その歪みに加えて、限界生産性の高い産業の貸出や資本ストックの増加が失速し減少に転じるという歪みが加わることによって、1990年代に貸出市場の資金再配分の非効率性と資本ストックの資源再配分の非効率性が一気に顕在化したこと、である。
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