2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21830047
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
佐渡 忠洋 岐阜大学, 保健管理センター, 助教 (60510576)
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Keywords | バウムテスト / 実施法(個別法VS集団法) / バウムイメージ / 研究法 / 文献研究 / コミットメント |
Research Abstract |
本年度の目的は、平成21年度の研究成果をまとめて学術的な形で発表することにある。 まず、他の研究者と臨床家に貢献することを目的に、バウムテストの邦文献一覧表(696編)を作成して発表した。そして、その中の「部分形態研究」176編を対象に、先行研究でどのような実施法が採用されていたかを検討し、個別法による研究は僅か13%であることを明らかにした。以上の文献研究から、バウムテストの実施法の問題が明確になったと考えられる。しかし、これらの検討の中で、先行研究の多くが数量的な検討方法において重大な問題を有していることが明らかとなった。そこで、先行研究における統計学的分析の使い方と研究者の仮説に焦点を当て、研究知見を臨床場面に還元させ統計を真に妥当な形で使う「スポットライト分析」を提唱した。 次に、昨年度までの調査データを吟味し、個別法と集団法とによるバウム画の印象の相違を検討した。その結果、実施法の要因でバウムの印象は変化しないこと、テスターにとってはその限りでないことが示された。さらに、バウム形態を数量的に比較した結果、実施法の要因は「バウムが外界と接する部分」に表れることが明らかとなり、「描線(特に重ねてかかれた描線)」「幹表面の描写(特にスジ状の樹皮の表現)」「地平線」「付加物」が集団法のバウムで頻出しやすい傾向にあることを明らかにした。したがってこれらの表現を解釈する際、そして先行研究の知見を参照する際には、実施法の要因を考慮して解釈しなくてはならないことが実証的に示された。 以上で、平成21年度~22年度にわたる本研究を終了する。本研究で実施法の要因は明らかとなったが、現今のバウムテスト研究には多々課題が残されている。それらの課題を解決するためにも、今後基礎研究を続ける必要があり、それらの知見は臨床研究で洗練されることが求められている。
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Research Products
(7 results)