2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21830059
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
青木 恵子 大阪大学, 社会経済研究所, 特任助教 (10546732)
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Keywords | 食品偽装事件 / 虚偽行為 / 実験経済学 / 匿名性 |
Research Abstract |
本研究の目的である、安全で安心な食品の流通のために必要な情報公開の方法を理論と実験を相互にフィードバックして検証することを考える上で、人々の嘘に対する意識とその嘘を告白する要因を探るために金銭的インセンティブがある実験環境で検証した。 具体的には、20代から60代の人を対象に、嘘をつくと貰えるお金が多い場合と少ない場合、また、相手の顔を見る場合と匿名性の場合の計4種類の実験を行った。この実験では、計544名の被験者を集めた。実験の結果は、嘘をつく割合は全体で約40%であった。4種類の実験の中で、匿名性で貰える金額が多く、対象者が若い人の場合が一番嘘をつく割合が多かった(約50%)。相手の顔が見える場合は、匿名性の場合に比べて、嘘をついたことを自白する人が多い傾向が観察された。嘘をつかれて、その通りの行動をした(騙された)人の割合は、嘘をつかれた人達の中で約68%であった。騙された人は、実験の種類や個人属性に大きな差がなかったが、相手を信じる傾向が観察された。 この研究の意義は、現実社会で発生している複数の詐欺行為(架空請求詐欺・オレオレ詐欺・偽装)に関わる要因を検証し、どの要因が嘘をつく人や騙される人に影響を与えるのか、また自白を促す要因を探ることで予防策の可能性を検証できる点である。 この研究の重要性は、嘘をつく動機は金銭であること、その嘘の告白に影響を与えるのは相手との接触であること、そして、騙される人はどのような場合でも相手を信じる傾向があることを示した点である。この研究は、2010年7月のESA World Meetingで英語報告され、海外の研究者らから意見を得た。また、大阪大学社会経済研究所のディスカッションペーパーとして公刊され、現在、投稿準備中である。
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Research Products
(3 results)