2009 Fiscal Year Annual Research Report
母子が離れた場面における母ザルの子育てスタイルが子ザルの行動に与える影響
Project/Area Number |
21830062
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大西 賢治 Osaka University, 人間科学研究科, 助教 (30547005)
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Keywords | モニタリング行動 / 養育投資 / 投資の配分 / 社会的知性 / 警戒行動 / 子育てスタイル / ニホンザル |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、ニホンザルを対象に、養育投資を巡る母子間の駆け引きにおいて母子それぞれがどのような戦術をとり、どのように社会的知性を発揮しているのかを明らかにする事である。2009年度は、(1)母ザルは、自分や子ザルと相互交渉を行っている第三者個体が誰なのかを考慮してモニタリング行動(子ザルを見る行動)の頻度を変化させているのか、(2)子ザルはどのような状況において周囲や母ザルに対してモニタリング行動を行っているのかについて検討を行った。 母ザルは、普段子ザルに攻撃的に振る舞う事が多い個体や、自分よりも高順位の個体が子ザルに接触しているときには、他の個体が子ザルに接触しているときに比べて頻繁に子ザルに対するモニタリング行動を行っていた。また、母ザルは自分と交渉している個体が誰なのかは考慮していなかったが、毛づくろいを受けているときよりも行っているときの方が頻繁に子ザルに対するモニタリング行動を行う傾向にあった。 子ザルは、月齢が上がるにつれて自分で周囲を見る警戒行動が多くなった。また、2、3ヵ月齢の子ザルは、母ザルの手の届く範囲内にいるときよりも手の届く範囲の外にいるときの方が長く警戒行動を行っていたが、4、5ヵ月齢の子ザルは母ザルとの距離によって警戒行動の長さに差はなかった。子ザルが母ザルに対して行ったモニタリング行動に関しては分析中である。 2009年度は、本研究課題の基礎となった研究について2本の学術論文を投稿し、現在審査中である。2010年度中に、この2本の論文を掲載し、2009年度に分析を行った結果を新たに学術論文として投稿する事を目指す。また、2010年度は本研究課題の計画に合わせてデータ収集を行い、母ザルの子育てスタイルに関する分析を行う予定である。
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Research Products
(1 results)