2010 Fiscal Year Annual Research Report
母子が離れた場面における母ザルの子育てスタイルが子ザルの行動に与える影響
Project/Area Number |
21830062
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大西 賢治 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (30547005)
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Keywords | モニタリング / 養育投資 / 投資の配分 / 社会的知性 / 子育てスタイル / ニホンザル |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、ニホンザルを対象に、養育投資を巡る母子間の駆け引きにおいて母子それぞれがどのような戦術をとり、どのように社会的知性を発揮しているのかを明らかにする事である。2010年度は、(1)母ザルが子ザルの周囲にいる第三者個体が誰なのかを考慮して子ザルへのモニタリング(見る行動)の頻度を変化させているのか、(2)母子が接触した場面と離れた場面で母ザルの子育てスタイルは一貫しているのか、(3)母ザルの子育てスタイルによって、子ザルは投資を求める鳴きの頻度を変化させているのかを検討した。 母ザルは、子ザルの周囲に成体オスや非血縁成体メスがいるときに頻繁に子ザルをモニタリングしていた。一方で、血縁未成体が子ザルのそばにいるときにはあまり子ザルをモニタリングしていなかった。成体オスや非血縁成体メスは子ザルに対して攻撃を行う事が多く、血縁未成体は子ザルの世話をしていることが多かった。母ザルは子ザルの周囲の個体が誰でどのような個体なのかを見ており、親戚の子ザルがいるときにはその個体に子ザルをまかせる傾向にあった。 接触場面で保護的な子育てを行う母ザルは、母子が離れた場面においても子ザルに対して多くの投資を行い、子ザルの要求に敏感であった。一方接触場面で拒否的な子育てを行う母ザルが離れた場面で子ザルに対して投資を控える傾向はなかった。 母ザルの子育てスタイルは子ザルの投資を求める鳴き声に影響していなかった。つまり、子ザルは母ザルの投資量の多寡によって要求する頻度を変化させていなかった。 今後、これらの成果を2011年度中に学術論文としてまとめ、投稿する事を目指す。
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Research Products
(6 results)