2009 Fiscal Year Annual Research Report
他者の心の理解に至る発達的基盤の解明:発達初期における自他の類似性理解を中心に
Project/Area Number |
21830063
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
實藤 和佳子 Osaka University, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (60551752)
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Keywords | 乳幼児 / 社会的認知 / 発達 / 類似性理解 |
Research Abstract |
本研究では新生児から生後15ヶ月まで縦断的に追跡し、自他の類似性理解とその発達を精細に検討すると同時に、他者の心の理解及び社会的相互作用に関するデータも収集し、各時期の発達現象がどのように連関しているのかについて検討することを目的としている。 本年度は主に生後0~6ヶ月の間の調査を実施した。新生児については出生してから退院するまでの期間に調査者が複数回訪問して測定した。その後は、各月齢に1回、大学の研究室で測定を行った。測定項目は月齢によって異なるが、自他の類似性理解(顔の模倣、自己に類似した他者への選好、時間的随伴性への反応)、社会的認知発達(ヒトへの注目、ヒトへの反応、目的志向的行動への理解)、養育者との相互作用である。パソコンやモニター、時間遅延挿入装置等を用いて提示される視覚刺激への選好注視法による実験、及び、玩具を用いて一定の手続きに従ったやりとりの記録を行った。測定するデータは来年度まで継続して収集を続ける予定であり、まだ妥当性の高い分析結果を公表できる段階にはないが、現時点で明らかになりつつあるデータは生後1ヶ月時点におけるヒトへの注目に関するものである。ヒトの顔-顔配列を含んだモノを対提示した場合、1ヶ月児はヒトの方をより長く注視する傾向がある。この結果は、顔配列の中でも同種であるヒトを選好することを示すデータであり、発達早期からの社会的知覚の様相を明らかにするものである。 これらの結果は来年度まで継続する縦断データの基礎としていく予定である。
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