2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21830073
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
上村 弘子 岡山大学, 大学院・教育学研究科, 講師 (40555348)
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Keywords | 保健指導 / プライマリーヘルスケア / 開発途上国 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ニジェール共和国の保健指導が及ぼした長期的評価を行うとともに、我が国の養護実践に照らし合わせて、基本的保健行動の定着過程を比較検討し、保健指導の介入方法を明確にすることである。 1)基本的保健行動の定着に関係する要因について検討した. 感染症死亡率に影響している要因をWHO,UNESCO,unicefによるデータ(感染症死亡率,改善された水源を継続して利用できる人の比率,適切な衛生施設を利用する人の比率,総就学率,GDP,人口千対医師の数)を用いて検討した結果,感染症死亡率には,医療だけでなく,衛生環境の整備と総就学率が影響を与えているといえ,ニジェール共和国小学校での衛生に関する保健指導の導入によって,保健行動を獲得させることがプライマリーヘルスケアの課題と考えられた. 2)保健指導の成果について,教員の意識調査から明らかにした ニジェール共和国ドッソ地域における保健指導の成果を明らにするため,保健指導の現状についてのインタビュー調査並び小学校教員50名を対象に保健指導に関する意識調査を行ったところ,基本的保健行動定着のための保健指導が推進され,知識・理解から行動・習慣につなぐプロセスを意図した保健指導が実施されており,教員への研修は保健指導を実践する力を身につけるために有効であったといえた.開発途上国における基本的保健行動定着のための保健指導の推進においては,教員研修の実施は有効であり,地域の実態に合わせて取組まれる必要であった. 3)基本的保健行動の定着までの行動変容の実態を把握した ニジェール共和国の小学校において児童の基本的保健行動について,4校95名の小学生にインタビュー調査を行った結果,児童の基本的保健行動は,手洗い行動は習慣としての定着しつつあった.しかし,便所使用については,家庭において便所を所有していても,便所を日常的に使用することにはつながっていなかった.この要因を明確にすることはできなかった.
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