2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21830077
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
川口 俊明 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (20551782)
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Keywords | 教育社会学 / 学校教育の効果 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本の小学校に焦点を当て、(1)児童の学力に、家庭環境・地域環境・学校教育が与える影響を測定し、その上で、(2)学力向上・学力格差の縮小に有効な学校教育の在り方を探ることにある。本研究では、いくつかの小学校を対象に、学力調査、児童・保護者・教職員を対象にした質問紙調査、学校を対象にした参与観察調査など、さまざまな研究手法を駆使して、「効果的な学校教育(Effective Schoohng)の在り方」を多角的に検討する。 2010年度の調査では、おもに、学校の立地する条件(就学援助率、保護者の年収・学歴など)に焦点を当て、学校の立地する条件によって、個々の小学校がどのように異なるのか、という問題について追及した。具体的には、ある市の3つの小学校を対象に、保護者の学歴・年収を調査し、その違いによって、子どもたちの素行、学力だけでなく、学校の教育方針・教師の指導法が、どのように変わってくるかについて、参与観察調査やインタビュー調査を行った。 調査の結果、保護者の学歴・年収が異なると、公立小学校の間でも、大きな違いが生じることが明らかになった。 具体的には、保護者の学歴・年収が高い学校では、子どもたちの成績が高いだけでなく、授業が話し合い活動など応用中心の活動になりがちである一方、保護者の学歴・年収が低い学校では、子どもたちの成績が低いだけでなく、授業がドリルなど基礎的なものになりがちであることがわかった。 この結果は、学校の立地する条件によって、子どもたちの学力が異なるのみならず、教師の指導法も変わってくることを意味している。これまでの学校効果の研究は、学校の立地する条件を軽視してきたが、次年度以降は、こうした要素も含めて、より複雑な学校効果のモデルを検討する必要がある。
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