2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21830086
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
加藤 典生 大分大学, 経済学部, 講師 (50555068)
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Keywords | 原価企画 / サプライヤーの疲弊 / 組織間管理会計 |
Research Abstract |
本研究の目的は,原価企画をどう運用すればサプライヤーの疲弊を生じさせずにバイヤーとサプライヤーがともに利益を享受できるWin-Winの関係を構築できるかを解明し,そこで果たす管理会計の役割と明らかにすることである。この目的を達成するために,平成22年度は現代企業が求める原価企画の機能を複数企業への訪問調査から明らかにするとともに,そうした機能が求められるようになった要因と今後管理会計が取り組むべき課題,特にサプライヤーの疲弊問題への影響を検討してきた。 その結果,原価企画が製品プロジェクトを進行するか否かの判断にも利用され始めていることが分かった。また,そうした新たな役割期待が原価企画に求められるようになったのは,資金不足への懸念や,プロジェクト中止で余剰となった資源を集中させて原価企画を実施することで,最大限の価値向上とコスト低減を目指そうとしていること,そしてリコールなどの事後的問題への懸念が関係している可能性が高いことが明らかにになった。 今後,原価企画が意思決定を支援する機能として利用されていくためには,中止の意思決定め結果を考慮に入れた新たな業績評価指標を開発することや,プロジェクト中止の意思決定が自社およびサプライヤーの企業業績にどのような影響を及ぼしていくかを分析していくことが,管理会計が取り組むべき検討課題であると分かった。
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