2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21830090
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
星野 裕二 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 助教 (20552277)
|
Keywords | メカニズムデザイン / 公平分担問題 / 耐戦略性 / ナッシュ遂行 |
Research Abstract |
本研究の目的は、公平分担問題において、公平な配分を実現するメカニズムの設計可能性を分析することである。公平分担問題とは、金銭移転を伴う非分割財の配分問題であり、応用例としてはごみ処理施設の立地問題などの迷惑施設の立地問題がある。この環境では、選好を表明する直接表明メカニズムという単純なメカニズムにおいて、メカニズムが非羨望性と呼ばれる公平性の性質を満たすとき、選好の虚偽表明による戦略的操作が可能であることが知られている。つまり、各個人は戦略的な行動をとることにより、自分の利得を上げる可能性があるということである。しかしながら、その戦略的行動により、どの程度利得を改善するかについては、これまであまり研究されてこなかった。そこで、本研究においては、戦略的な行動により個人が取り得る最大の利得を特徴づけ、それは個人にとって最も選好する非羨望配分の利得に等しいことを示した。このことは、戦略的行動により、個人は非羨望性の中で自分に最も有利な配分を得ることができると言うことを意味する。また、この最大利得を特徴づけることにより、(1)どのような時に戦略的操作が起こらないのか、(2)均衡においてはどういった配分が実現するかなどの特徴を分析することができた。この研究成果は、Fujinaka and Wakayama(2011,Discussion Paper 2011-02,Department of Social Engineering,Tokyo Institute of Technology)にまとめられている。この研究の特徴として、これまでは非分割財がひとつのケースに特化した研究が多いのに比較して、本研究は非分割財が複数種類存在する一般的なケースで議論していることが挙げられる。
|
Research Products
(2 results)