2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21830091
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
吉田 満梨 Tokyo Metropolitan University, 社会科学研究科, 助教 (30552278)
|
Keywords | 製品市場 / 市場志向 / 茶系飲料 / 市場境界 |
Research Abstract |
本研究は、各企業に固有の資源によって、それぞれの市場観、すなわちどのような範囲で製品市場境界を認識しているか、が異なるという側面に焦点を置き、両者の関係を実証的に明らかにすることを目的としている。一年目の平成21年度は、既存研究の(a)理論的検討及び(b)方法論的検討を通じて、次年度の経験的調査のためのモデル・方法の精緻化を行った。 (a)の理論的検討では、製品市場境界に関する文献、ならびにRVBを中心とした企業の固有の資源に着目するアプローチと、組織の認識メカニズムを明らかにしようとするアプローチについての文献のレビューを中心に、既存研究の検討を行った。特に企業の市場環境認識に関する研究としては、組織の主体的環境選択・意味創出に側面に焦点を当てた、戦略論や組織論の分野の既存理論(e. g., Child 1972;Brown 1978;加護野1981, 1988;榊原1986;Weick 1979, 1995;Smircich and Stubbart 1985)に加え、近年マーケティング研究の領域で、活発に議論がなされている「市場志向」の研究についても検討した(e. g., Day 1994, Deshpande, Farley and Webster 1993, Kohli and Jaworski 1990, Jaworski and Kohli 1996, Narver and Slater 1990, Slater and Narver 1995)。市場志向では、潜在的ニーズを含めた顧客ニーズや競合の動向を含んだ、より広い意味での市場環境について、組織がどのように理解し継続的に学習を行うのか、という問題に焦点が置かれる。こうした検討の成果は、『マーケティングジャーナル』や『日本情報経営学会誌』といった雑誌や、経営戦略学会、韓国でのICBEIT等で発表する機会を得、国内外の研究者の方々から広くコメントを頂きながら、議論を深めた。 また平成21年度は、(b)市場観の捕捉のための方法論的検討も行った。実証研究の方法としては大きく、サーベイ調査とテキストマイニングという2つのアプローチを検討した。後者に関しては、特に、テキストデータを分析することの方法論的意義を明確にする目的で、社会学における言説分析のアプローチについても検討を行い、第60回日本商品学会全国大会において研究報告を行った。
|