2010 Fiscal Year Annual Research Report
概念の形成過程の発達評価と教材教具による学習の系統性についての研究
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21830097
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Research Institution | Tokyo University of Social Welfare |
Principal Investigator |
立松 英子 東京福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (20510613)
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Keywords | 概念形成 / 認知発達 / 発達評価 / 行動障害 / シンボル機能 / 特別支援教育 |
Research Abstract |
<研究の目的>障害のある幼児や学童における行動障害の予防を念頭に、概念の形成過程の認知発達と行動との関係を解明するとともに、適切な学習を行うための実践的な示唆を得ることを目的とした。 <具体的内容>調査研究では、開発中の簡便な発達評価の妥当性の検討及び、認知発達と行動との関係の検討を行った。「太田ステージ評価(LDT-R)」と「鳥の絵課題(TOB)」、及び行動に関する2つの質問票を、昨年度に引き続き保育所や幼稚園に通う定型発達児及び特別支援学校に通う知的障害児(自閉症の合併を含む)に実施し、計481名と674名のデータを得た。LDT-Rで測るシンボル機能の発達を5つのStageに、TOBで測る視覚-運動機能の発達を6タイプに分け、各群に応じた行動特徴を検討した。実践研究では、研究協力者や保護者とともに、教材・教具の開発と個別指導を行い、その実践知をまとめた。 <意義>LDT-R及びTOBの結果は年齢や言語表出など発達指標との関係が強く、発達評価としての妥当性が確認された。これらの不通過群では自閉症様の行動障害が顕著に多く、各Stageやタイプに応じた行動特徴も見出され、認知発達と行動との強い関係が明らかであった。実践においては、課題や目標の設定、教材の選択、指導上の留意点などが系統的に整理された。 <重要性>言語の理解と注意の集中が困難な事例には、市販の検査は適用しにくいものが多い。本研究における評価法は、短時間で認知の重要な指標を捉え、現場で直接子どもに接する保育士や教師自身が実施でき、しかも全員に実施すれば集団編成の資料となる。指導導入時に実施すれば特別支援学校等の指導体制構築の目安となり、研究活動においては認知の質に合わせた対応の視点が共通理解される。それは児童生徒にとってはわかりやすい学習環境が作られるということであり、心理的安定や日常行動の高次化に貢献すると考えられる。
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