2009 Fiscal Year Annual Research Report
全身錯覚にもとづく多様な視点を得るための仮想ユーザー像表現
Project/Area Number |
21830104
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
鈴木 聡 Aoyama Gakuin University, ヒューマン・イノベーション研究センター, 助手 (70516377)
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Keywords | 実験系心理学 / ユーザインターフェース / 仮想ユーザ像 / 全身錯覚 |
Research Abstract |
本年度は仮想空間,ないし複合現実空間におけるユーザの全身錯覚に関する研究の準備を進めた常 まず,関連研究について論文や学会発表の資料をもとに調査を進め,感覚統合や仮想空間・複合現実空間の認知に関する最近の研究動向も踏まえ,実験手続きの確立および工学的な応用が可能な分野の検討を行った.感覚統合の研究については,特に視触覚統合の研究に着目し,視覚・触覚呈示間の時間遅れの影響について調査した.これは,映像合成装置を利用する場合に装置の仕様上時間遅れが不可避であるため,その影響の大きさを見積もる必要があるためである.そして,仮想空間・複合現実空間の認知に関する研究についても調査した.触覚に関連する視覚の刺激呈示をコンピュータグラフィックス(CG)のみ,ないし触覚刺激も含めて行った研究はあるものの,装置の設計論に終始したものも多く,また身体錯覚に関連させた議論を行ったものはほとんどみられなかった.また,工学的な応用の観点から先行研究を検討した場合,触覚に関連する視覚刺激の呈示がCGで行えると判断可能な場合には,刺激呈示装置の簡略化が行える点が他の感覚統合(たとえば視覚・味覚統合など)の研究からも期待できる.加えて,本研究の目指す「普段と違う自分」の表現を通じた他者の視点の取得であるが,関連した目標をもつ研究が現れつつある.だが,現時点ではそうした装置の構築とデモンストレーションにとどまっており,その評価手法についてはいまだ模索段階にあるといえる. 現在,実験刺激の作成・呈示に必要な装置,およびCG編集ソフトウェアを導入し,実験環境の構築を行っている.今後,先行研究にもとづき実験手続きに留意するとともに,先行研究でみられず,かつ「普段と違う自分」の表現が期待できる形の全身錯覚現象の発見を試み,実験を進める予定である.
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