2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21830110
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
新保 祐光 Taisho University, 人間学部, 講師 (90513432)
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Keywords | 医療ソーシャルワーク / 価値 / 根拠 |
Research Abstract |
退院支援は、疾病により積極的な医療を必要とする入院という状態から、その人なりの生活を再構築する移行期を支援する(三毛2003)。そのため、支援をする過程では、医学における科学的根拠だけでなく、利用者および家族の個人的価値や、病院機能、生活に関わる多次元かつ多様な社会的価値の影響も強く受ける(平塚2010)。 本調査は、価値にもとづく実践(Values-Based-Practice)において重要視される「特殊な状況における価値と事実に関する知識」(Woodbrige. and Fulford. 2004)について、日本における退院支援という場面に焦点化し明らかにすることを目的としている。 実施報告 (1)研究者バイアスの確認 多様な価値の聞き取りのために、自らの価値に関するバイアス確認のための自験例の事例研究をおこなった。価値という枠組から事例分析(3事例)をし、価値のワーディングについて事例検討会で協議し、そのうえで支援に参加した看護師のメンバーチェックをおこなった。 (2)(1)で分析したデータを、研究のスーパーバイザーに提出し、アドバイスを受けた上で、インタビューガイドを作成し、医療ソーシャルワーカーに対するインタビューのプレ調査をおこなった。価値が抽象的かつ、言語化しにくい概念のため、インフォーマントは実践経験が長く(15年以上)、かつ関連領域で修士の学位所持者に限定し、3名に対しておこなった。 プレ調査のデータを分析した上で、再度インタビューガイドと調査方法の妥当性の確認をおこなっている。その結果、インタビュー中の調査者の発言による交互作用の影響が示唆された。価値を正確に聞き取るため、より価値中立的なインタビュー態度であること。被調査者やそのスーパーバイザー等のチェックをより慎重におこなうことなど、データの精度を高める工夫がより必要であることが示唆された。
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