2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21830117
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
小山田 朋子 明治大学, 政治経済学部, 専任講師 (50436507)
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Keywords | 利益相反 / 医学 / 医事法 / 英米法 / インフォームド・コンセント / ソフトロー |
Research Abstract |
本研究がテーマとしているのは、医学研究における利益相反問題(産学連携により、産業界から大学や医師へ資金が提供され、医師の利害が被験者の利益と対立しうることおよび研究の科学的妥当性をも損ないうるという問題)である。わが国でも産学連携が国家戦略とされる中、利益相反問題への対応が急がれている。本研究は、この問題でわが国の20年先を行っていると評されるアメリカ法を研究対象とし、わが国のあるべきルールを探ることを目的としている。本年度は主に以下の方法で研究および成果の公表を行った。1.アメリカ法の調査により、以下のことが明らかになった。(1)2009年に連邦法案(Physician Payments Sunshine Act of 2009)が提出され、2010年3月に連邦議会を通過した。これは年間100ドルを超える製薬企業等から医師への贈与につき政府への報告を医師に義務づける内容である(公表については2013年3月から施行)。(2)製薬企業等に対するFDAの規制につき、連邦厚生省(DHHS)の調査によれば、その実効性が十分か疑われる結果であった(2009)。(3)連邦厚生省規則が求めている、研究者から研究機関への利益相反の報告についての同省の調査によれば、この報告内容につき90%の機関は研究者の解釈に委ねていた(2009)。(4)同省では同規則の改正案が検討されている(2010)。2.日米の法学者・弁護士・医師からなる研究会(医療の発展と患者の保護をめぐる倫理・法の現代的課題に関する研究(岩田太教授代表・厚生労働科学研究費補助金)に参加し、共著書を執筆した(「利益相反問題」についての章を担当)。3.わが国のチーム医療にかんする判例を評釈した(東京大学民事判例研究会、「最判平成20年4月24日民集第62巻5号1178頁判決」)。4.東京大学医学部臨床研究セミナーで基調講演を行った。(「医学研究と利益相反-日米比較の視点から-」)
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