2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21830119
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
田中 聡一郎 立教大学, 経済学部, 助教 (40512570)
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Keywords | 生活保護 / 給付つき税額控除 / 公的扶助 |
Research Abstract |
本研究は、近年受給者が急増している生活保護制度と導入論議がなされている給付つき税額控除に関する政策的含意を得ることを研究目的としている。平成22年度は、第1に生活保護制度に関する分析として、生活保護の実施体制と保護率の変動要因の検討を行なった。具体的には自治体のデータを利用して、保護率を年齢階級別の保護率と人口割合の変化による寄与度分解を行い、その増加要因を検討するとともに、受給者が急増するなかでの生活保護行政の課題を議論した。これを取りまとめたものについては23年度に公刊される書籍に記載される予定である。また第2に、新たな所得保障制度(アメリカやイギリスの給付つき税額控除やイギリスの高齢者の公的扶助制度である年金クレジットを参考)の導入効果の検討を行った。具体的には、『日本家計パネル調査』や『全国消費実態調査』の個票データを用いたマイクロ・シミュレーション分析により、給付つき税額控除や年金クレジットなどの新たな所得保障制度の導入が家計に与える影響や所要財源の推計などを行った。また給付つき税額控除の検討においては、子ども手当の導入シミュレーションも併せて実施している。これらのシミュレーション分析の一部については、査読誌での掲載や社会政策学会の関東部会の報告(2011年5月予定)などの研究成果につながっている。またこれまで受けたコメントを反映し、さらに査読誌への投稿を進めたい。生活保護制度改革や給付つき税額控除の導入の検討が今後進むと考えられるため、研究成果の早期の公表に努めていきたい。
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