2009 Fiscal Year Annual Research Report
バルト諸国を中心とした中東欧諸国における少数民族問題と政党システム比較分析
Project/Area Number |
21830123
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中井 遼 Waseda University, 政治経済学術院, 助手 (10546328)
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Keywords | 比較政治 / 選挙研究 / 政治過程論 / 国際社会・エスニシティ / ヨーロッパ / 中東欧 / 政党システム / バルト諸国 |
Research Abstract |
本研究は民族的少数派の投票行動の規定要因を探索することを目的として、新興民主主義諸国である中東欧、特にエストニア・ラトヴィア・リトアニア(バルト諸国)の、政党システム研究・選挙研究を中心とした比較事例分析を行うとともに、統計分析による因果効果の検証と、最終的には理論モデルの定式化までを目指している。 2009年度は、6月に京都で行われた日本比較政治学会と、7月にチリで行われた世界政治学会(IPSA) World Congressにて上記研究のパイロット版となる3手法を組み合わせた報告を行い、非民族政党の少数派取り込み政策が少数民族の投票行動に影響を与え、その影響は法制度的要因や社会構造的要因より強いあるいは匹敵することを明らかにした。一方で中東欧を越えた理論の外的妥当性の検討とさらなる事例理解の必要性を確認した。このうち英文ペーパーについては早稲田大学GCOE-GLOPEIIのワーキングペーパーとして公表された。 事例研究面では、当該テーマのエストニア・ラトヴィア比較に比して先行研究の少ないリトアニア1国の研究を推進し、10月にはリトアニアの選挙制度と政党システムに関する論考をロシア東欧学会にて報告した。選挙制度の要素をどのように考慮すべきか論じた本報告の成果は査読付雑誌『ロシア・東欧研究』から発刊予定であり、リトアニアの選挙・政党一般に関する成果は京都大学CIASのディスカッションペーパーとして12月に刊行された。年度末3月にラトヴィアとリトアニアで行った現地調査では究めて有益な資料収集ができ、次年度以降の研究発展も期待できる。 本年度は、統計分析に資する集積データをアバディーン大学CSPPより購入する予定であったが、より緻密な分析を可能にする個票データの販売許可がおり、一方で当該個票データが非常に高価であったため、計画を変更し次年度に本データを購入することとした。
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