2009 Fiscal Year Annual Research Report
消費に関する習慣の形成を考慮にいれた経済動学モデルの分析
Project/Area Number |
21830143
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
平口 良司 Ritsumeikan University, 経済学部, 准教授 (90520859)
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Keywords | 経済理論 / 最適化問題 / 競争均衡 |
Research Abstract |
昨年度私は消費の習慣形成を考慮した経済動学モデルを分析し、以下の2点を証明した。第一に、そのモデルにおいて競争均衡解が存在することを証明した。そして第二に、その競争均衡解が唯一に定まることを証明した。研究手法としては、研究実施計画で述べた方法である、変数変換法を用いた。もともとのモデルは、消費量と資本蓄積量の計2種類の変数を用いた最適化問題として記述されている。しかしながらその問題における目的関数は凹関数でなく、最適性に関する既存の定理の多くを適用できない。私は、昨年度の研究において、新たな変数を定義し、凹関数を目的関数とする、別の最適化問題を定式化した。そしてその最適化問題の解析を通して、元の問題に競争均衡が存在し、それが一つしかないことを示した。本研究の意義は、消費の習慣を考慮したマクロ経済モデルの基礎付けを行ったことである。消費の習慣形成を経済動学モデルに組み入れることで、モデルと時系列データとのあてはまりが非常に良くなることが多くの研究者により明らかになった。しかしながら、消費の習慣を組み込んだモデルが非凹性を持つことはあまり知られておらず、そのようなモデルに競争均衡解が唯一に存在することは所与として仮定されている。昨年度の研究において、私はその仮定が実際成立することを示した。既存の研究結果の適用外のモデルの理論的基礎付けを行うことができたという点で当該研究結果は新規性を持つ。特に、目的関数が局所的に凸関数となる場合、最適化問題の解は複数になる可能性があり、その可能性を排除した証明結果は興味深いといえる。
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