2009 Fiscal Year Annual Research Report
実体的利益制御と会計的利益制御の関係に関する実証的研究
Project/Area Number |
21830144
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
松浦 総一 Ritsumeikan University, 経営学部, 准教授 (50554317)
|
Keywords | 実体的利益マネジメント / 会計的利益マネジメント / 契約 |
Research Abstract |
本研究は,経営者が結んだ会計数値に基づく報酬契約によって引き起こされる利益マネジメント行動に焦点を当て,取引自体を操作することで利益を調整する実体的利益マネジメントと,会計報告上の裁量を用いて利益を調整する会計的利益マネジメントが代替的な関係にあり,かつ実体的利益マネジメントが企業価値を減少させるものであるため,利益マネジメントのインセンティブが強い企業経営者であるほど,会計的利益マネジメントよりも実体的利益マネジメントを主に利用することで目標利益を達成する行動に出る,という分析を行うことを目的としている。 日経NEEDS Financial Questより収集したデータを用いて経験的分析を行い,上記の仮説を検証した結果,報酬契約により誘発された目標利益達成のインセンティブが強い企業経営者ほど,利益調整手段として,企業価値を損ねる実体的利益マネジメントを主に用いていることが分かった。 この証拠は,資本市場からの圧力ではなく,報酬契約が利益マネジメントを誘発する状況においても,利益マネジメントを削減するために会計基準による規制を強化することで,会計低利益マネジメントを抑制することが,実体的利益マネジメントの増加を生み出し,企業価値を損ねる可能性があることを示している。
|