2010 Fiscal Year Annual Research Report
議会交渉におけるプロトコルの役割についての非協力ゲーム理論による研究
Project/Area Number |
21830145
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
川森 智彦 大阪経済大学, 経済学部, 講師 (70550531)
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Keywords | ゲーム理論 / 交渉 / 提携形成 |
Research Abstract |
初年度に得られた結果(提案を拒否したプレイヤーが新たな提案者になる議会交渉ゲームで,提案者の均衡利得が一意に定まる;提案者の均衡利得は,無作為に提案者が選ばれるモデルでのそれより大きくなりうる;提案者の均衡利得は,提案を通すのに必要な票数が大きくなると増加しうる)をまとめた論文を査読誌Social Choice and Welfareに投稿し,同誌から,改訂要求を受けた.そこで,要求に沿ってモデルを再構築し,改めて分析を行った.改訂の主な点は,危険選好の一般化と混合戦略の採用の2点であった.第1点目に関しては,相対的危険回避度が一定である選好を用いた.ただし,選好は,プレイヤーごとに異なることを許容している.戦略を混合戦略に拡張することに関しては,確率的な提案を許容し,応答については確定的である戦略を採用した.このように改めたモデルを分析したところ,元のモデルの下で得られる結果が基本的に保たれることが分かった.まず,提案者の均衡利得が一意に決定することが示された.提案者の均衡利得の計算については,危険選好を加味した実効的な割引因子を定義することができ,元のモデルでの提案者の均衡利得の割引因子をこの実効的な割引因子に置き換えたものが,新たなモデルでの提案者の均衡利得になることが分かった.また,提案者の均衡利得についての2つの特徴(無作為に提案者が選ばれるモデルとの比較と提案を通すのに必要な票数との関係)も保たれることが分かった.以上の結果を踏まえ,論文を改訂し,Social Choice and Welfareに再投稿した.
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