2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21830153
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
倉本 宜史 甲南大学, マネジメント創造学部, 講師 (70550309)
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Keywords | コンパクトシティ / まちづくり / 地方公共団体 / 費用関数 / 歳出削減 / 公共交通 |
Research Abstract |
本研究は地方における「コンパクトシティ」の形成が財政状況にどのような影響を与えるのかについて実証分析で示すことを目的にしている。以上を踏まえ、平成22年度ではこれまでの文献調査、ならびに昨年度行った実証研究と聞き取り調査を基に、都市部における政策目標の一つである行政費用の削減に対する手段としてのコンパクトシティの形成からの影響を明らかにした。特に、コンパクトシティ形成の定義は先行研究や政策担当者により異なっている。複数の先行研究で共通に扱っている定義のほか、政策担当者が考慮している定義も含め、全8種類の定義に対応する代理変数を用いて分析を行った。本研究は、政策を実行する目標は一つであるものの、政策手段が複数あることで不明確になっている各政策の効果を明確にするという意味を持つ。 分析結果として、まず市街地への居住者の増加や商店街での小売業者の増加(売場面積の増加)は先行研究では行政費用減少効果を期待していたものの、統計的に効果を確認できなかった。また、景観・風致・歴史関係地区の都市面積に対する割合(費用増の効果を想定)と都市内の年齢構成のばらつき度合い(費用減の効果を想定)も効果を確認できなかった。これらの結果は、単に市街地人口や商業施設の増加政策を採用し、行政費用削減効果を期待することの意味を問い直している。なお、聞き取り調査を基に近年のまちづくりに関して一体的な整備ができないことから費用を増す恐れもあるとして採用した都市内にある都市計画数に関しては想定通りの結果が得られた。また、都市内街路割合も行政費用を増やすという結果になった。 そして、本年度は福井県、和歌山県、田辺市、岡山市、津山市、萩市の行政担当者や都市交通の整備を推進する市民団体から本研究に関する聞き取り(もしくはメイルでの)調査を行った。変数選択の参考意見になったほか、更なるデータの精査に関する助言も得られた。
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