2009 Fiscal Year Annual Research Report
多国籍企業における人材の創造的開発・活用を促す人的資源管理に関する比較研究
Project/Area Number |
21830158
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Shikoku University |
Principal Investigator |
笠原 民子 Shikoku University, 経営情報学部, 助教 (40523189)
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Keywords | 国際人的資源管理 / クリエイティブ・クラス / ナレッジ・ワーカー / グローバル人事制度 / 成果主義 |
Research Abstract |
本年度は、2年度にわたる研究の準備段階として、分析フレームワークの構築に向けて、(1)文献レビュー並びにこれまでの研究成果の整理、(2)質的調査(パイロット調査)の実施に取り組んだ。本研究のテーマは萌芽的な領域であることもあり、文献研究は、国際経営、国際人的資源管理、IT関連(クラウド・コンピューティング、Web2.0等)にわたる最新の文献レビューを行った。文献レビューで明らかになったことは、第1に、多国籍企業で導入、運用されている人事制度自体の研究は、2000年以降ほとんど進歩が見られないということ、第2に、創造性やアイデアをベースに仕事に従事する人材についての研究は、現在も議論が行われている段階にあり、従業員をどのように創造的に活用するかということについて、企業において様々な取り組みがなされていることが分かった。しかし、彼らのマネジメントについては十分に議論されてはいなかった。これらの文献研究を踏まえて、文献研究ではみえてこない現場の状況を把握し、かつこれまでの研究成果を整理することを目的に、以前、インタビュー調査を行った企業を対象に追跡調査という形でインタビュー調査を行った。インタビュー調査は、日系多国籍企業、外資系多国籍企業を対象にした。しかし、近年では、人的資源管理ひいては人事制度に関する事項は企業戦略と密接な関係にあること、また、コンフィデンシャリティの観点から十分な聞き取りを行うことが難しい状況になりつつある。何社か上記の理由からインタビュー調査を行うことができなかった。そこで、多くの外資系・日系多国籍企業で導入、運用されている人事制度を提供している人事系コンサルティングファームも対象にインタビュー調査を行った。各コンサルティングファームがどのような人事関連サービス(人事制度、ツール、教育訓練等)を提供しているのか(どのように提供している商品が変化しているのか)、また、クライアント企業が直面している問題としてどのようなことが考えられるのかということを把握することによって、企業が直面している人事上の課題への接近を試みた。インタビュー調査や文献研究にあたっては、同領域に関心のある教員と共に適宜研究会を開催し、議論の精緻化に努めた。本年度は、研究の準備段階ということもあり、研究成果の創出が難しかった。しかし、次年度では学会報告(6月の多国籍企業研究学会西部部会での報告予定)並びに論文の上梓を予定している。
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