2009 Fiscal Year Annual Research Report
異質な個人が存在する経済での消費者の選好と最適税政策
Project/Area Number |
21830160
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
中元 康裕 Kyushu Sangyo University, 経済学部, 講師 (10552200)
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Keywords | 異質な個人 / 選好 / 消費の外部性 / 最適税政策 |
Research Abstract |
異質な個人を考慮したマクロ経済モデルにおいて、他人の消費行動への嫉妬心を表す消費の外部性による、(1)資産配分に与える効果、(2)市場経済と計画経済との乖離を、本年度は主に分析した。(1)では、共同論文(タイトル:Consumption Externalities and Wealth Distribution in a Neoclassical Growth Model)において、選好、人口シェアと初期資産が異なる2つのグループをマクロ経済モデルに組み込み、消費の外部性が資産配分にどのような影響を与えるかをまとめた。特に、2つのグループが存在することで、自分が属するグループと自分が属さないグループの他人の消費行動に対する嫉妬心を明示的に設けている。例えば、初期資産の豊かなグループに属する個人は同グループに対する消費行動には嫉妬心を抱くが、初期資産の乏しいグループには嫉妬心を抱かない、といった想定を設けることが本研究では可能である。その論文の主要な結論は、自分が属するグループであるかどうかに関わらず、他人の消費行動に対して追随するような選好を持つ場合、そのグループの長期的な資産水準が他のグループに比べて高くなることを解析的に示したことである。又、数値例を設けて、消費の外部性の程度が資産配分にどれほど影響を与えるかを調べている。(2)では、(1)の設定を利用し、市場経済と計画経済の資本水準が消費の外部性によりどう乖離するかを解明した。代表的個人モデルでは、労働供給を外生変数と仮定する場合、消費の外部性の影響が長期的な資本水準に影響を与えないことが既存文献より知られている。本研究では、経済全体の資本水準には影響を与えず既存文献の結論と同じである一方、個々のグループの資本水準には長期的にも影響を与えることを示し、消費の外部性と、市場経済と計画経済の乖離との関連性を調べた。なお、Ruhr University Bochum、Free University of Berlinと九州産業大学で本プロジェクトに関する報告を行った。
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Research Products
(5 results)