2010 Fiscal Year Annual Research Report
里親・委託児童・実親の生活問題の構造とサポート体制に関する研究
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21830168
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Research Institution | Okazaki Women's Junior College |
Principal Investigator |
貴田 美鈴 岡崎女子短期大学, 幼児教育学科, 講師 (70516864)
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Keywords | 里親制度 / 社会的養護 / 生活問題 / 質的データ分析 |
Research Abstract |
第1に、里親制度の源流を明らかにするために、児童福祉法成立期の里親委託の位置づけについて検討した。児童福祉法立案当初から政府は個人家庭での養育を施設での集団養護より優先し、GHQの影響下で「個人家庭での養育」という概念を里親という言葉にし、児童の福祉を保障するために里親委託を国の管理下におこうとし、里親は児童福祉法に規定された。児童福祉法制定後、児童の人身売買や労働搾取に対して、政府は法令通知により都道府県に注意喚起するとともに、保護受託者制度を設け、里親養育から労働を切り離そうとした。しかし、里親制度そのものが児童労働を認めていることから、里親委託の位置づけを純粋な養育に限定することができなかった。 第2に、21年度に実施したA・B地域里親会会員へのインタビュー調査の分析を行った。研究協力者は、養子縁組5世帯を含む里親会会員12世帯(15名)である。また、児童相談所3カ所(4名)へのインタビュー調査も補足的に行った。方法は、半構造化面接によるインタビューを実施し、里親らの語りをICレコーダーに録音した。分析方法は、録音データを逐語記録化し、質的データ分析ソフトMAXQDAを補足的に使用し、佐藤(2008)の質的データ分析を参考に分析を行った。その結果、5つの上位カテゴリーと16のサブカテゴリー、63の概念カテゴリーを生成することができた。このカテゴリーにそって、里親・委託児童・実親の生活問題の構造を明らかにし、どのようなサポート体制が必要であるのかを考察した。現在、論文を執筆中であり、23年度中に発表する予定である。
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Research Products
(1 results)