2010 Fiscal Year Annual Research Report
保育者養成段階における保育実践力の向上に関する実証的研究
Project/Area Number |
21830169
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Research Institution | Takada Junior College |
Principal Investigator |
上村 晶 高田短期大学, 子ども学科, 助教 (60552594)
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Keywords | 保育実践力 / 保育者養成 / 省察 / 子ども理解 |
Research Abstract |
本研究は、子ども理解の深化と省察プロセスの体得を目指した取組を通じて、保育者養成段階における保育実践力の力量形成について実証的に探究するものである。本年度は、昨年度の予備調査の内容を精選した上で、視聴覚教材・機器を活用した取組を実施し、2年間を通じた学生の気づきの生成・変容過程を総合的に分析した結果、次の点が見出された。 (1)"VTR stop省察法"の本調査を実施した結果、子どもの内面を推測した気づきが有意に多く、またその心情に沿った共感的な応答や他児との仲立ちなどの援助を考える学生が有意に多かった。よって、VTR視聴によって子どもの内面を見とり、心情に即した援助を導き出すプロセスが構築しやすいことが示唆された。また、質問紙調査から、文章による事例検討よりもVTRの方が事象を的確に把握でき、特に視聴直後の話し合いによって子どもの内面や事象の見方が拡がり、互いの気づきを更に喚起しながら省察を深め、子どもを多面的に理解することが可能であることが示唆された。 (2)視聴覚機器を用いた"遊び考案法"の本調査を実施した結果、楽曲を考案の手掛かりとすることは、対象の子どもの姿や思いから出発して創意工夫を凝らしたり発想力を拡げる一助となることが見出された。また、子ども理解を中心とした保育実践に対する意識は、仲間との協働性や他者のアイデアと有意な関連が見られ、他者との話し合いや発表を通じて遊びの幅が拡がり、保育現場での適応可能性につながると考えられる。 以上の結果から、本取組は子ども理解を基盤とした見とり力・即応力を高める一助となり、保育者養成段階における保育実践力向上のためには仲間との協働的な学び合いが重要な鍵を握っていることが示唆された。
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