2009 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症のある人における注意機能の特性と社会性の認知メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
21830176
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
片桐 正敏 National Center of Neurology and Psychiatry, 精神保健研究所 児童・思春期精神保健部, 流動研究員 (00549503)
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Keywords | 自閉症スペクトラム障害(ASD) / 模倣 / 社会的応答性 / ミラーリング効果 |
Research Abstract |
本研究は,自閉症スペクトラム障害(ASD)のある人たちを対象に,社会的な注意機能とその認知メカニズムについて検討することにある。今年度は,これまで行ってきたASDのある人たちにおける注意機能の促進に関する実験的検討をまとめ,国際誌(Research in Autism Spectrum Disorders)に投稿し,受理された。 本研究の目的は,大人によって模倣されることで2~3歳の子どもにおいても社会的応答性(特に社会的な注意や相互交渉を促進するような反応)を促進することができるのかどうかを調べた。本研究には,2歳児,3歳児のASDのある子どもたちが参加した。実験セッションは,最初2分のベースラインフェーズ(BL1),3分のミラーリングフェーズ,そして2番目の2分のベースラインフェーズ(BL2)の3つのフェーズで構成された。その結果,発達的な遅れがないかわずかな発達的遅れのある2歳児,3歳児のASDのある子どもたちの社会的応答性が大人によって模倣されたその直後,もしくはその間向上したことを明らかにした。 本研究の意義,重要性として,ミラーリング効果が自閉症の症状の程度や発達段階にかかわらず,効果があるということが示され,かつ自閉症の重症度ではなく,IQによって人への注意機能や社会的応答性が変化することが示された。臨床的な意義として,ミラーイメージ法におけるダイナミックな相互交渉は,幅広いASDのある子どもたちに対して早期介入の方法として極めて有望であると考えられるであろう。
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Research Products
(3 results)