2010 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症のある人たちにおける注意機能の特性と社会性の認知メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
21830176
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Research Institution | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
Principal Investigator |
片桐 正敏 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所児童・思春期精神保健研究部, 流動研究員 (00549503)
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Keywords | 自閉症スペクトラム障害(ASD) / 模倣 / 社会的応答性 / ミラーリング効果 / NIRS / 声の処理 |
Research Abstract |
本研究は,自閉症スペクトラム障害(ASD)のある人たちを対象に,社会的な注意機能とその認知メカニズムについて検討することにある。昨年度は,これまで行ってきたASDのある人たちにおける注意機能の促進に関する実験的検討をまとめ,国際誌(Research in Autism Spectrum Disorders)に掲載された。 平成22年度は,社会的な刺激に対する脳の情報処理について検討を行った。ASDのある人は,社会的刺激に対して特異的な応答を行うことが知られているものの,その脳の情報処理ははっきり分かっていない。特に声に対する応答が弱いことが知られており,声,特に母親の声の処理は定型発達者と異なるのかを検討することで,ASDの社会性の認知メカニズムを知る手がかりが掴める可能性がある。研究では,近赤外線分光法(NIRS)を用いて,ASDのある子どもが声を聞いているときの脳血流を計測した。その結果,定型群で認められた声に対する側頭部位の脳血流応答がASDのある人では認められなかった一方,非言語音ではASDのある人のみ左側頭部位で有意な脳血流応答が認められた。この結果は,ASDのある人は声に対して特異的な情報処理を行っている可能性を示唆するものであり,非言語音に注意処理資源を用いて情報処理を行っている可能性を示唆する。 本研究の意義は,ASDで認められる社会的応答性の弱さを客観的な生理指標で捕らえることができたという点である。より低年齢でこうした声に対する脳の応答処理の弱さが認められれば,本研究の結果は,ASDの社会性の弱さを行動指標以外で評価できる可能性を秘めている。
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Research Products
(2 results)