2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21840002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡邉 忠之 北海道大学, 大学院・理学研究院, 助教 (70467447)
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Keywords | 微分同相群 / 埋め込み / Morse理論 / ファイバー束 / 有理ホモトピー群 / 擬アイソトピー / 代数的K理論 |
Research Abstract |
本研究の目標は、5次元球面の微分同相群の分類空間BDiff(S^5)の2次有理ホモトピー群を生成する情報の「代数的部分」と「非代数的部分」の決定である。そのために5次元円板の擬アイソトピーを構造群とする6次元円板のファイバー束(擬アイソトピーファイバー束)を考え、その上の族のMorse理論によって、それを構成する情報を詳しく調べるという計画であった。この計画は功を奏し、前年度には、S^2上の擬アイソトピーファイバー束が、平面図式で表される代数的部分と、そうでない部分とに、変形によって分離でき、非代数的部分は2次元球面の5次元空間への埋め込みの族で表されることがわかった。今年度は、臨界点の個数を固定した場合の代数的部分を記述する障害類(代数的障害類)が属する群G,H,0の構造を詳しく調べた。群G,Hについては、その表示を具体的な生成元と関係式で与えた。群0については、具体的な離散アーベル群からの全射を構成した。「代数的部分」を量る障害類の計算が具体的な代数の問題に帰着され、目標の前半が一応決着したと言える。「非代数的部分」については信州大学の境圭一氏との議論により、今後目指すべき方向が明らかになった。また今年度は、5次元以上の奇数次元球面の微分同相群への拡張を考え、7次元以上の奇数次元については、代数的障害類の消滅が、もとの2次有理ホモトピー群の元の自明性を意味することもわかった。本研究で展開された枠組みは、2次以上の高次の有理ホモトピー群の研究に発展する可能性がある。研究集会、セミナーにおいて講演の機会を得、議論できたことは非常に有益であった。結果をまとめた論文をウェブサイトに公開する予定である。
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