2009 Fiscal Year Annual Research Report
微小球光共振器を用いた光合成光捕集蛋白の超高感度単一分子分光
Project/Area Number |
21840003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤原 正澄 Hokkaido University, 電子科学研究所, 助教 (30540190)
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Keywords | 単一分子分光 / 超高感度 / フォトニクス / 光ナノファイバ / 微小球共振器 / 光合成蛋白 / コヒーレント分光 / 量子光学 |
Research Abstract |
本年度は、光合成蛋白の超高感度単一分子分光向けた準備・調査を行った。具体的には、まず、光合成蛋白の取り扱いや本研究室における保管状況の調査を行った。その結果、当研究室でも、光合成蛋白を十分保管できる事が分った。次に、従来の方法である顕微鏡を用いた光合成蛋白の単一分子分光技術の確立を目指した。そのために、光合成蛋白のガラス基板上へのスピンコートとフッ化リチウム基板上へのコートを行い、基板表面からのラマン散乱の影響を評価した。その結果、本研究で使用する励起レーザーの波長790-800nmの周辺では、ラマン散乱の大きな影響は見られず、単一分子を分散させる基板としてはガラスで十分な事を明らかにした。さらに、790-800nmの領域でレーザーを使用可能なように、研究室所有の共焦点顕微鏡システムの改造を行った。 顕微鏡の改造については、当初、790nmの励起光源用に改造した。しかし、この波長では十分な励起効率が得られないと判断し、800nmの励起光源として半導体レーザーの選定・購入を行った。現在、顕微鏡装置を800nmレーザーに最適化している。また、共焦点顕微鏡に使用している対物レンズが、光合成蛋白からの発光波長890nmでは透過率が20%程度しかないために、改善が必要である事も分った。来年度、最適な対物レンズの購入を検討している。 微小球共振器を用いた実験に関しては、微小球材料として石英ロッドのフッ酸処理を行った。今後、この材料を用いて微小球を作製し、10^8のQ値を上回る共振器を目指す。また、当初の計画にもあったように、単一分子の発光を超高感度に検出するデバイスとして光ナノファイバにも着目し、ナノファイバを用いた単一発光体の検出にも取り組んだ。その中で、ナノファイバのほこりにする機械的脆弱性を明らかにした。これはナノファイバを用いた応用研究をする上で、重要な技術的知見である。現在、蛍光微小ビーズの蛍光検出には成功しており、光合成蛋白への応用を目指していく。
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