2010 Fiscal Year Annual Research Report
微小球光共振器を用いた光合成光捕集蛋白の超高感度単一分子分光
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21840003
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤原 正澄 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (30540190)
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Keywords | 単一分子分光 / 超高感度 / フォトニクス / 光ナノファイバ / 微小球共振器 / 光合成蛋白 / コヒーレント分光 / 量子光学 |
Research Abstract |
本年度は、光合成色素蛋白複合体の超高感度単一分子分光の実現に向けて、(1)共焦点顕微鏡を用いた光合成蛋白の単一分子分光の実現、(2)高効率蛍光集光デバイスであるナノ光ファイバの集光効率の決定、(3)ナノ光ファイバ結合微小球を用いた蛍光体蛍光検出を行った。 その結果、(1)光合成蛋白の共焦点顕微鏡観察に室温下で成功した。(2)ナノ光ファイバに単一量子ドットの蛍光観察に成功し、集光効率が全発光量の6.6%と非常に高い値である事を示した。(3)ナノ光ファイバ結合微小球上に配置した複数の色素ビーズからの蛍光検出に成功した。 (1)に関しては、昨年度導入した半導体レーザーに共焦点顕微鏡を最適化し、試料保持も窒素雰囲気下で行うなどの工夫を行った。その結果、単一光合成蛋白からの発光を室温下で安定して検出する事に成功した。(2)については、ナノ光ファイバ上に単一量子ドットを配置し詳細な蛍光観察を行う事で、単一量子ドットの総発光量の6.6%を検出することに成功した。この蛍光集光効率は、開口数1.1の対物レンズに相当するものであり、極めて良好な値を示した。(3)に関しても、ナノ光ファイバ結合微小球上に配置した複数の色素ビーズからの蛍光検出に成功した。 特に、ナノファイバが開口数1.1の対物レンズ相当の集光効率を有する事が明らかとなった事である。これまでクライオスタットなどでは作動距離などの要因により、開口数0.7程度のレンズしか実質的に使用できなかった。事実、光合成蛋白の従来の研究もNA0.55のレンズによって行われていた。ナノ光ファイバは極低温化でも使用可能であり、従来の4倍の蛍光検出を光合成蛋白に期待する事ができる。微小球共振器を用いるまでもなく、より簡便に利用可能なナノファイバを用いて光合成蛋白の高感度蛍光検出が可能である事を見出したことは、今後の大幅な研究展開につながるものである。
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Research Products
(10 results)