2009 Fiscal Year Annual Research Report
カイラル超伝導体の単一ドメインにおける新奇量子現象の探索
Project/Area Number |
21840004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
延兼 啓純 Asahikawa Medical College, 医学部, 助教 (60550663)
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Keywords | カイラルp波超伝導 / パリティの破れ / ヘリカル渦 / 単一ドメイン / 電子輸送特性 |
Research Abstract |
本年度はSr_2RuO_4試料作製から電子輸送測定までを行った。マイクロメートルサイズのSr_2RuO_4単結晶に対して、電子ビームリソグラフィーを用いて試料へ金電極を6端子取り付けた。試料上の金電極へ局所的に電子ビームを照射し溶着を行った。その結果、試料との接触抵抗を大幅に減少させることに成功し電気測定が可能となった。これらの実験手法は他の微細な異方的超伝導体の単結晶試料にも適応できる可能性があり、電子輸送特性を研究するために大変重要な技術である。実験技術を論文(H.Nobukane et al., Jpn.J.Appl.Phys., 49 020209 (2010))として発表した。マイクロメートルサイズのSr_2RuO_4は超伝導状態において興味深い電流-電圧特性を示した。発生電圧が印加電流に対して偶関数になっており、パリティの破れた電流-電圧特性を発見した。測定試料サイズはこれまでの実験結果から示唆されているカイラル単一ドメインサイズと同程度である。以上から単一ドメインサイズに試料をすることでカイラルp波超伝導体の新奇な現象を顕著に観測できたと考えている。結果及びその解釈としてヘリカル渦の流体力学的な運動を提案した論文(H.Nobukane et al., Solid State Commun.149 1212 (2009))を発表した。さらに研究の進展として、パリティの破れた電流-電圧特性に対する磁場依存性が明らかになっている。現在、その結果をPhys.Rev.Bに投稿中である。これらの研究成果を3件の国際学会(うち1件の招待講演)と日本物理学会2009年秋季大会にて発表を行った。
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Research Products
(10 results)