2010 Fiscal Year Annual Research Report
中性子ビーム有効利用のための高圧下X線構造解析装置の開発
Project/Area Number |
21840024
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小松 一生 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特任講師 (50541942)
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Keywords | 高圧 / X線回折 / 中性子回折 |
Research Abstract |
本プロジェクトの目的は、主に1)-70℃から100℃まで±0.1℃で温度制御でき、最大100GPaの圧力領域における粉末あるいは単結晶試料のX線回折実験が可能な装置・ソフトウェア環境の整備、および2)氷の高圧相および含水物質、特に地球内部へ水を運搬すると期待される含水鉱物の状態方程式・結晶構造の決定、であった。この点について、特に1の装置開発に関わる部分については平成22年度までに予定通り完了することができた。当初の計画では、-70℃~100℃までの温度領域を目標にしていたが、200℃までは高温にできることを確認でき、目標以上の性能を持つ装置が完成した。2つの目的については、特に塩を含む氷の高圧相について顕著な進展が見られた。すなわち、氷高圧相であるVI相において、NaClが5wt%以上溶け込みうることがあきらかになった。また、これまでNaClが固溶すると報告されていたVII相へは、非平衡状態でのみ固溶可能であり、時間と共に、純粋な氷とNaClとに分離してしまうこともまた、明らかになった。イオンの氷結晶への固溶は、そのイオンの周囲の電荷バランスを変え、分子の配向状態を変えることができると考えられるため、氷の物性や熱力学的性質に重大な影響を与えうる。例えば、土星などの氷惑星の衛星には、衛星内部に塩分を含む海が存在すると考えら得ており、それらの衛星内部の層構造に対して、本研究の成果が制約を与えうる可能性がある。本研究の成果は、国内での学会発表によって報告された。
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[Journal Article] High-pressure experiments with the engineering material diffractometer (BL-19) at J-PARC2010
Author(s)
J.Abe, T.Hattori, K.Komatsu, H.Arima, M.Arakawa, A.Sano-Furukawa, H.Kagi, S.Harjo, T.Ito, A.Moriai, K.Aizawa, M.Arai, W.Utsumi
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Journal Title
Journal of Physics : Conference Series
Volume: 215
Pages: 012023
Peer Reviewed
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[Journal Article] A cubic-anvil high-pressure device for pulsed neutron powder diffraction2010
Author(s)
J.Abe, M.Arakawa, T.Hattori, H.Arima, H.Kagi, K.Komatsu, A.Sano, Y.Uwatoko, K.Matsubayashi, S.Harjo, A.Moriai, T.Ito, K.Aizawa, M.Arai, W.U.tsumi
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Journal Title
Review of Scientific Instruments
Volume: 81
Pages: 043910
Peer Reviewed
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