2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21840037
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
桑山 靖弘 愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, 助教 (00554015)
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Keywords | 超高圧 / 相平衡 / 地球中心核 / 鉄合金 / ダイヤモンドアンビルセル |
Research Abstract |
地震波観測により得られた内核の密度と鉄の高圧下での密度を比較した研究によると、内核中には鉄やニッケルのほかに軽元素と呼ばれる鉄よりも軽い元素が数パーセント含まれていることが示唆されている。また、同時に、内核内に地震波異方性と呼ばれる構造が存在することも示唆されている。これらの地震学的観測を解釈し、地球中心核の構造とダイナミクスを理解するためには、核の圧力温度条件における内核物質、すなわち鉄-ニッケル-軽元素合金の結晶構造及び弾性的性質を知ることが必要である。本年は、前年度に決定した鉄-ニッケル-軽元素合金の結晶構造をさらに詳しく解析するため、レーザー加熱ダイヤモンドアンビルセル高圧高温実験を行ない、詳細な格子パラメータを決定することにより、地震学的に観測される内核の地震波依存性の原因を議論した。また、詳細な解析を可能とする確度の高いデータを取得するために、レーザー加熱ダイヤモンドアンビルセルによる超高圧高温その場観察実験手法の改良の際に、二酸化物における新しい構造を発見した。二酸化物は非常に基礎的な化合物であり、これまで理論的には様々な構造が予測されていたが、超高圧高温発生の困難さゆえに実験的な実証にはいたっていなかった。従って、この新しい構造への相転移の実験的な実証は地球科学や高圧物質学の理解において重要である。これらの結果は、アメリカ地球物理学連合秋季大会などの国際学会において発表され、また現在、国際誌において査読中である。
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