2009 Fiscal Year Annual Research Report
液体電極を用いた大気圧グロー放電の制御とプラズマリアクタへの応用
Project/Area Number |
21840042
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
白井 直機 Tokyo Metropolitan University, 理工学研究科, 助教 (80552281)
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Keywords | 大気圧プラズマ / 大気圧グロー放電 / 液体電極 / パルス放電 |
Research Abstract |
電解質溶液を電極とした放電の電極間に微細なヘリウムガス流を導入して、大気圧空気中で安定な直流駆動のグロー放電を生成した。気流界面では、溶液の気化、イオン衝突、電子放出、ラジカルの発生、窒素酸化物の溶解、電気分解等、様々な反応が発生していると考えられ、その複雑さ故に、明確な放電維持機構については十分な理解がなされていない。本研究では、特に液体プラズマ間の熱の輸送に着目して、液体を陰極とした放電の特性を実験的に調べ検討した。 最初に直流駆動の放電についてNaCL溶液電極の温度を外部から加熱または冷却して、特性の変化を調べた。電流を増加させていくと、水面付近より橙色のNaの発光が観測された。この発光は、放電部の熱に依存するものと考え、液体電極冷却した際にはNaの発光は弱くなり、加熱した際には発光は強くなった。このことから、液体を電極とした放電は、熱の影響が大きいことが明らかとなった。 次に、電源を直流からパルス駆動に変えることで、放電部から液体電極への熱輸送を制御した。パルス駆動の方法は2種類検討し、直流電圧を半導体スイッチによってパルス変調した放電、パルス幅1μs程度のコンデンサ放電について実験を行った。パルス変調駆動時にはパルス幅を減少させていくとNaの発光強度が減少した。発光の時間変化を計測するとNaの発光は電圧・電流に比べて遅れて発生しており、その遅延時間のためにパルス幅を減少させた際にNaの発光が減少する。この遅延時間は液体陰極の温度が上昇すると短くなる。パルス幅1μs程度の電圧を印加した際には、水面にストリーマ状の発光が形成されたが、この場合も液体を加熱すると、ストリーマ周辺にNaの発光が観測された。 以上の結果より、放電の特性は液化の熱に依存するものと考えられ、水面より観測されるNaの発光は液体陰極の温度を変化させることで制御できることを明らかにした。
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