2010 Fiscal Year Annual Research Report
液体電極を用いた大気圧グロー放電の制御とプラズマリアクタへの応用
Project/Area Number |
21840042
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
白井 直機 首都大学東京, 理工学研究科, 助教 (80552281)
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Keywords | 大気圧プラズマ / 大気圧グロー放電 / 液体電極 / パルス放電 |
Research Abstract |
液体を電極とした放電に微細なヘリウムガス流を導入して、大気圧空気中で安定な直流駆動のグロー放電を生成した。気液界面では、溶液の気化、イオン衝突、電子放出、ラジカルの発生、窒素酸化物の溶解、電気分解等、様々な反応が発生しているが、明確な放電維持機構については十分な理解がなされていない。本研究では、特に液体プラズマ間の熱の輸送に着目して、液体電極放電の特性を実験的に調べ検討した。 昨年度、検討した放電特性の液体の温度の影響について、より詳細に現象を調査した。液体の表面を光源で照射しながら観測すると、放電電流の増加とともに表面より微小な水滴が現れることを確認した。この表面状態の変化は液体の温度に依存し、液体の温度が高いほど現れやすい。 また液体を陽極とした放電を硝酸銀水溶液を用いて生成すると気液界面に金属のナノ粒子が生成されることを確認した。TEMによる計測によりその粒径は10~100nm程度であり、放電電流を小さくするほど粒径が小さくなることを実験的に見出した。 液体陽極を用いた放電において、電極間距離を10mm程度まで広げた状態で、放電電流を増加させていくと、陽極上に自己組織化された発光が形成された。放電の自己組織化は液体の導電率に依存する。陽極としてNaCl溶液を用いた場合、20mAの電流では液体陽極表面にリング状の発光が形成される。電流を増加するとリングは2重構造となり、その外側には複数の微小スポットが現われ、さらに電流を増加すると多数の微小スポットが動き回る。これらの模様は電極間距離が広く、電流が高いときほど観測され易い。また、ヘリウム流量を大きくすると、模様は現れ難くなった。これらの現象のメカニズムについてはまだよくわかっていない。 以上の結果より、放電の特性と液体の熱の依存を明らかにするとともに、新たな現象の発見、今後の課題が見出された。
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