2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21840047
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
池田 幸太 明治大学, 研究・知財戦略機構, 講師 (50553369)
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Keywords | 反応拡散方程式系 / 進行波解 / 安定性 / fingering pattern / 退化型非線形項 |
Research Abstract |
温度、紙の密度、酸素濃度を未知関数とするような燃焼現象をモデル化した反応拡散方程式では、あるパラメータが大きいとき一様な燃焼面が現れ、小さいときにはfingering patternと呼ばれるようなパターンが現れることが知られている。このパラメータを任意に取り、提唱された3変数系の方程式における進行波解の存在を示した。 証明について述べる。特異摂動法を用いると、ある常微分方程式を解くことで進行波解の存在を示すことができる。求めるべき解は、相平面上のある2曲線の交点を通過せねばならない。2つの曲線とそれぞれ交わるようなパラメータが存在するため、中間値の定理によって交点を通過する解が少なくとも1つは存在する。したがって、進行波解の存在が示される。しかしながら、この構成方法では進行波解の個数を特定することはできない。また、安定性を決定するために必要な、ある非退化条件を導くのが難しい。そこで、解析の簡単化を行うため、自由境界問題を導出した。この方法によって、FitzHugh-Nagumo方程式系における平面進行波解の存在と安定性に関する既存の結果を、従来の方法より単純に行うことができた。拡散項付きFitzHugh-Nagumo方程式系に対して同方法を適用し、平面進行波解が不安定であるという新たな結果を得た。この方法を用いれば、燃焼のモデル方程式の平面進行波解の安定性を議論することができると期待しており、現在解析を進めている。 退化型の非線形項を持つモデル方程式の解析を行い、空間パターンが指数的に減衰している領域における線形化作用素の性質を調べた。空間パターンダイナミクスを解析する際には、対象となるパターンに対する線形化作用素の性質と非線形項の処理が重要であるが、非線形項が退化しているため、線形化作用素の性質が非常に悪い。解析を進めた結果、粘性解理論によって線形化作用素の性質が調べられる可能性があることが分かった。
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