2010 Fiscal Year Annual Research Report
多重ゼータ関数の解析的挙動とその幾何学的側面からの研究
Project/Area Number |
21840053
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
佐々木 義卓 近畿大学, 総合理工学研究科, 博士研究員 (20548771)
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Keywords | 多重ゼータ関数 / 多重ゼータ値 / 特異点解消 / 関数等式 |
Research Abstract |
多重ゼータ関数の非正整数点での挙動、特に関数等式を念頭に置いた収束領域の多重ゼータ値と非収束領域の多重ゼータ値の間にある関係の解明に向けて解析および幾何的側面から研究を行った。多重ゼータ関数の非正整数点での特殊値が満たす新たな関係式を示した。これはJonathan Borwein氏等によって与えられた多重ゼータ関数の正整数点での特殊値間で成り立つ関係式をそのまま非正整数点での特殊値に読み替えたような関係式であり、多重ゼータ関数の収束領域と非収束領域との間に良い対称性あることを示唆する関係式と言える。さらにこの関係式は関数レベルで成り立ち、多重ゼータ関数の新たな性質を解明することができた。この研究結果については、Jonathan Borwein氏も参加した国際研究集会で講演した。また多重ゼータ値と関係の深い荒川・金子のゼータ関数の構造を解明し、その構成法をDirichlet L関数に適用することで、多重L値と関係する新たなL関数を構成した。このL関数は多重L値が満たす関係式解明に応用できることが期待され、新たな研究手法を導入することができた。さらにこのL関数の特殊値を通して一般Bernoulli数の拡張を導入し、大野泰生氏と共同でその数論的諸性質解明に関する研究を行った。これらの研究結果を数理解析研究所で行われた研究集会などで講演した。多重ゼータ関数の不確定特異点解消にも取りかかった。2重ゼータ関数の場合は完全に不確定特異点を解消することが出来た。3重ゼータ関数の場合で不確定特異点の解消は、一度のブローアップでは解消されない不確定特異点があり、足利正氏や小森靖氏等とその点の情報や多重ゼータ関数の挙動の詳しい解析を行った。
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Research Products
(13 results)