2009 Fiscal Year Annual Research Report
太陽系外惑星探査のためのスペースコロナグラフの開発
Project/Area Number |
21840063
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
小谷 隆行 Japan Aerospace Exploration Agency, 宇宙科学研究本部, 宇宙航空プロジェクト研究員 (40554291)
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Keywords | 太陽系外惑星 / コロナグラフ / 補償光学 |
Research Abstract |
本研究では、宇宙望遠鏡による太陽系外惑星探査のための鍵となる、補償光学・コロナグラフシステムを開発し、若い木星型惑星を検出するために必要な、6桁以上のコントラスト(恒星光と散乱光の強さの比)を達成することを目的とする。太陽系外惑星の直接撮像・分光を実現するためには、コロナグラフを用いることに加えて、不完全なミラー・レンズなどにより生じる散乱光(スペックル)を、主星よりも6桁以上暗いレベルまで低減することが必要である。我々は、可変形鏡(Deformable Mirror,以下DM)を用いることで能動的に波面誤差を補正し、散乱光を減らすことを目指している。今年度は、常温・可視光での実験光学系を構築し、He-Neレーザーにおいてスペックル低減実験を行った。実験には、新規開発した自立型チェッカーボード型マスクと、1024素子のDMを使用した。DMを用いてスペックルノイズ低減を行うために、焦点面に置いたCCDによりスペックルを解析して振幅・位相を割り出して、必要なDMの変形量や形状を決定し、スペックルを打ち消した(Speckle Nulling法)。この手法は、波面測定用に別途光学系を用意する必要がなく、サイェンスカメラ自体を用いるため、高コントラスト観測に適している。波面補償の結果、散乱光の強度を最大で1/1000にまで低減することに成功し、像中心から3~10λ/Dという非常に主星に近い領域(=惑星が多く存在すると予想される領域)において、スペックルを主星像よりも6桁以上暗くすることに成功した。これは若い木星型惑星を検出するのに十分なコントラストである。さらに世界で初めて、自立型チェッカーボードマスクと可変形鏡を組み合わせ、高コントラストの撮像が可能であることを示した。
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