2010 Fiscal Year Annual Research Report
太陽系外惑星探査のためのスペースコロナグラフの開発
Project/Area Number |
21840063
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Research Institution | 宇宙航空研究開発機構 |
Principal Investigator |
小谷 隆行 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 宇宙航空プロジェクト研究員 (40554291)
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Keywords | 太陽系外惑星 / コロナグラフ / 補償光学 |
Research Abstract |
宇宙望遠鏡による太陽系外惑星の直接撮像・分光を実現するためには、コロナグラフの使用に加えて、波面誤差により生じる散乱光(スペックル)を、主星よりも6桁以上暗いレベルまで低減することが必要である。そのためには、可変形鏡(Deformable Mirror,以下DM)を用いることで能動的に波面誤差を補正し、散乱光を減らす。昨年度は、He-Neレーザーによる波面補償実験を行ったが、今年度は以下のように、常温・広帯域可視光での実験光学系を構築し、スペックル低減実験を行った。また、観測ターゲットカタログの作成・期待される惑星の検出数の見積もり、波面誤差が存在する場合のコロナグラフの性能評価を行った。1)広帯域光源を導入し、広帯域スペックル低減実験光学系の立ち上げ、波面補償実験を行った。その結果、中心波長650nm、10nmのバンド幅の広帯域光で4桁のコントラストを達成した(>3λ/D)。さらにアルゴリズムの改良により6桁のコントラストに到達する見込みが得られた。2)これまで波面補正に用いたアルゴリズムは、高コントラストに達するまでに数百回のIterationを行っており、最終像を得るまでに数時間という調整時間を必要としていた。本年度は、波面補償アルゴリズムの改良により、Iteration数を1/10へと大幅に低減できることを、シミュレーションにより示した。3)現実的な宇宙望遠鏡の鏡面精度を考慮に入れた場合の、波面補償シミュレーションを行い、十分に6桁コントラストを達成できることを示した。またDMを搭載しない場合に必要な望遠鏡鏡面精度を見積もった。3)口径3m宇宙望遠鏡・中間赤外線にて近傍の木星型系外惑星を検出するための観測ターゲットリスト作成を行った。主に近傍の若い星(<50pc, <1Gyr)から200個と、より近傍の比較的年老いた星(<10pc, <5Gyr)から20個を選び、2種類のカタログを作成した。また検出可能な惑星の数を見積もるために、ターゲットの年齢・距離、装置の性能を考慮に入れたシミュレーションを行い、6桁コントラストの場合、十分な数の惑星を検出することが可能であることを示した。 これらにより、現実的な条件下での宇宙用波面補償光学系の実現に向けて、大きく前進したと言える。
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