2009 Fiscal Year Annual Research Report
水分解用光触媒としての層状遷移金属酸化物ナノシートに関する研究
Project/Area Number |
21850009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前田 和彦 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 助教 (40549234)
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Keywords | 触媒・化学プロセス / 新エネルギー / 水素 / ナノ材料 / 複合材料・物性 |
Research Abstract |
高活性な光触媒を調製するためには、その構造特性と光触媒活性の相関を調べることが重要である。そのため本年度は、2層、あるいは3層のペロブスカイト層からなるニオブ酸ナノシートを合成し、光触媒活性の比較を行った。 KCa_2Nb_3O_<10>、KSr_2Nb_3O_<10>、RbLaNb_2O_7の3種類の層状金属酸化物を調製した。これらはいずれもペロブスカイト型層状金属酸化物であるが、Ca体とSr体でペロブスカイト層の厚みが3層、La体で2層となる。これらの3種類の層状金属酸化物からナノシート凝集体を作成した。粉末エックス線回折法及びラマン分光法による測定の結果から、ナノシート凝集体が調製できていることが確認され、その表面形状や比表面積には大きな違いが見られなかった。一方、これらの材料のバンドギャップ値は、Ca(3.50eV)>Sr(3.30eV)>La(3.23eV)の順に小さくなった。さらに、バンド端の位置を見積もったところ、バンドギャップの大きい順に伝導帯の下端が負側に位置することが示唆された。 これらの異なる物理化学的特性をもつ3種類のナノシート凝集体に白金ナノ粒子を担持したものを光触媒として、2-プロパノール水溶液からの水素生成反応を行った。いずれのナノシート凝集体も300nm以上の紫外光に応答して水素を生成したが、その光触媒活性はペロブスカイト層の数によって大きく異なった。特に、Sr体とLa体では、バンドギャップの値及びバンド位置に大きな違いは見られなかったにもかかわらず、光触媒活性はSr体で15倍以上高い結果となった。この2種の材料については、比表面積にも顕著な差は見られなかったことから、ペロブスカイト層の数がこのような劇的な活性の違いに寄与していることがわかった。このような特異な反応性の起源については、今後さらに検討を重ねて解明していく予定である。
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