2009 Fiscal Year Annual Research Report
精密制御ラジカル重合を基盤とした剛直主鎖型液晶性ビニルポリマーの創製
Project/Area Number |
21850017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
永井 寛嗣 Nagoya University, 工学研究科, 助教 (90554808)
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Keywords | 高分子合成 / 高分子構造・物性 / ラジカル重合 / リビング重合 / 液晶性高分子 / ブロック共重合 / アセナフチレン / 剛直主鎖型液晶 |
Research Abstract |
本研究では、ラジカル重合による精密重合制御を基盤とした、剛直かつ一次構造が高度に制御された液晶性ビニルポリマーの創製を目的としている。本年度では、剛直な骨格を有するビニルモノマーの一つである、アセナフチレンのリビングラジカル重合に関して検討を行った。アセナフチレンのリビングラジカル重合が可能となれば、剛直な主鎖セグメントを含有するブロックポリマーやグラフトポリマーなどを構築できる可能性があるにもかかわらず、その研究例は世界的に見ても極めて少ない。そこでまず、ルテニウムや鉄など種々の遷移金属触媒や、ジチオエステルなどのRAFT試薬を用いて、アセナフチレンのリビングラジカル重合に関して検討を行った。その結果、RuCp^*Cl(PPh_3)_2錯体やRu(Ind)Cl(PPh_3)_2錯体を用いた場合、生成ポリマーの数平均分子量は開始剤一分子からポリマー一分子が生成すると仮定した計算値に近く、狭い分子量分布を保ったまま(M_w/M_n<1.2)、重合率に比例して直線的に増加した。得られたポリマーの熱物性に関して解析したところ、ガラス転移温度が300℃以上、分解温度が370℃と高い耐熱性を有していることが明らかになった。次に、柔軟なセグメントであるドデシルメタクリレートやブチルアクリレートとのブロックポリマーの合成を検討したところ、柔軟鎖と剛直鎖が共有結合を介して結合したブロックポリマーの合成も可能であることがわかった。さらに、得られたブロック共重合体の液晶性や熱物性に関して詳細に解析を行い、剛直主鎖型液晶性ビニルポリマー合成への指針を得た。以上の成果は、第59回高分子学会年次大会で発表予定である。
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