2010 Fiscal Year Annual Research Report
精密制御ラジカル重合を基盤とした剛直主鎖型液晶性ビニルポリマーの創製
Project/Area Number |
21850017
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
永井 寛嗣 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (90554808)
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Keywords | 高分子合成 / ラジカル重合 / リビング重合 / 環状ビニルモノマー / 剛直主鎖型高分子 / 耐熱性高分子 / ブロック共重合 / 交互共重合 |
Research Abstract |
本年度では様々な環状ビニルモノマーに着目し、ラジカル重合および共重合により、剛直な主鎖骨格に由来する液晶性ビニルポリマーの創製について検討した。(1)アセナフチレンのラジカル(共)重合:前年度得られたRu触媒を用いたリビングラジカル重合の成果を踏まえ、アセナフチレン骨格を有する様々なブロック共重合体の合成を行った。また、アセナフチレンと電子求引性の環状ビニルモノマーであるマレイミド誘導体とのラジカル共重合により、剛直な共重合体の合成を試みた。いずれも得られたポリマーの液晶性は確認できなかったが、280℃以上のガラス転移点を有する高耐熱性高分子であることがわかった。(2)ノルボルネン誘導体のラジカル共重合:様々なノルボルネン誘導体とマレイミドとのラジカル共重合を行い、主鎖にノルボルネン骨格を有する剛直な共重合体の合成について検討した。特に、無置換のノルボルネンとフェニルマレイミドとの共重合をフルオロアルコール中で行うと交互性の高い共重合体が得られることが明らかになった。共重合体は7.7nmの持続長を有し、ビニルポリマーの中では比較的剛直であることが明らかになったが、液晶性の発現には至らなかった。(3)イミノスチルベンのラジカル(共)重合:これまで、ビニルモノマーとして重合に用いられた報告例のない、イミノスチルベンの単独ラジカル重合を行ったところ、分子量は低いもののポリマーが得られた。また、マレイミド誘導体とは容易にラジカル共重合し、比較的高分子量の交互性の高い共重合体が得られることも明らかになった。イミノスチルベンは、窒素上に様々な置換基を簡便に導入可能なことから、分子設計の工夫により主鎖が剛直な液晶性ビニルポリマーの合成への指針を得た。
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